【ネタバレなし】『告白』湊かなえの同名小説を映画化。これぞ映画化の真骨頂!【レビュー】
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1人の女教師と37人の生徒。
女教師はこのクラスメイト37人の中に、自分の娘を殺した犯人A, Bがいると語り、A, Bに復讐することを告げる。
幼さ故の残酷さ。親であるが故の過度な愛。幸福であるが故の能天気。
これは1人の女の復讐劇であり、欠落した人間たちの群集劇である。
原作は湊かなえの同名小説『告白』
美しい色彩や不気味な音は、小説を映画化することの意義を、明確に示す。
観た!正確には3度目くらいなのですが、いやぁ、やっぱりいいね。
原作の湊かなえさんの小説『告白』も2019年末で累計部数358万部越えということで、ストーリーも文句なし。[1]参考:湊かなえデビュー作『告白』の文庫版が100刷突破 単行本と合わせた累計部数は358万部越え – Real Sound
何より本作は、色合いの使い方や音楽といった、視覚的・聴覚的にドラマティックな演出が非常に素晴らしい。
身近に溢れている映画の殆どが原作のあるもので、「何故、小説や漫画を映画化するのか」ってそんな真剣に考える機会って無いと思うんですよね。
本作を観ている間も別にそんな小難しいことは考えないのですが、そうした視覚的・聴覚的に優れたドラマティックな演出をバーーンと見せられると、直感的に「あぁ、これが映画化の良いところなんだ」と感じてしまいます。
評価は8です。2020/10/28現時点で日本映画で一番高いんじゃないかな。本当に良かったです。[2]ちなみに先ほど気付いたのですが、今までの映画の評価記録していたサイトのサービス終了していて全部消えました。本当にありがとうg(ry
以下から少し、掘り下げます。
出だしからクライマックス!約2時間、観る者を掴んで離さないパワーは圧巻
ストーリーはザックリ言ってしまえば「娘を殺めた犯人への復讐」なんですが、この部分に徹底して話が進むんですね。
こうした内容って、犯人が分からなかったり、犯行の一部が分からなかったり、そんな中で復讐を進めるのが大半だと思うんです。
ただ本作は、そんなまどろこしいことは一切ナシ。最初の30分で、「どういう経緯でどうなったのか、その犯人は誰なのか」を全部言っちゃうんですよね。すごい。
それでいきなり「おっしゃ!復讐じゃい!」みたいな勢い。思いきりがあるなぁと感心してしまうほど。
それで残りの90分が面白いのかって心配になるのですが、めちゃんこ面白いんですよ。これがすごい。
後述するような素晴らしい演出が引き込んで離さないし、ストーリー自体もただの復讐劇を見せるような内容じゃないんですね。
きっとこの流れでただの復讐を見せても全然面白くないと思うんですよ。その点本作は、「復讐」という軸を保ちながらも幅広い物語を見せてくれる。
それにドラマティックな演出を添えてスクリーン上に映し出されると、言うこと無しな名作の出来上がり。これが本当にすごい。
色彩・音楽の使い方が素晴らしい。これぞ小説を映画化する醍醐味だ
冒頭から度々記載していますが、色彩の美しさや音の使い方が非常に素晴らしい。
不気味な描写をキャラクターに話させる、そして想像させるのは小説にも為せること。
おぞましい行動をキャラクターに行わせる、そして恐怖を与えるのは漫画にも為せること。
そうしたシーンに、本作はあえて美しいほどの色合いを差したり、おどろおどろしい音を添えることで小説や漫画で感じる「恐怖」や「不気味さ」を何倍にも増幅させる。
湊かなえさんの原作小説もきっと恐ろしいものでしょう。でも、本作はそれを映画化する意義を教えてくれる。その扉の開く感覚には、感動すら覚えます。
怖いシーンが思いきり怖いからこそ、それ以外のコミカルな描写も何処となく不気味なんですよね。よかったなぁ。
ただの復讐劇で終わらせない、欠落した人間たちの「群像劇」のような構成
本作に出てくるキャラクターは、全員何かが欠落しています。まともな人間は誰一人としておらず、それゆえに本作への低い評価には「感情移入できなかった」という意見も多いようです。[3]参考:告白 – Yahoo!映画
ただ、私は本作を一般的な「優れた女優が主演の復讐劇」としては捉えておりません。
欠落した人間たち、特にストーリーの中心を担うキャラクターに関しては、何故欠落した人間になってしまったのか、何が彼らをそうさせたのか、そんな「復讐をする主役」以外の人々の人間性にもカメラを向けます。
キャラクターによっては主観的な描写も多く、それらで構成されるストーリーは、何処か「群像劇」のようにも見えます。
群像劇はその特性上、キャラクターに感情移入することは難しいため、個人的には「感情移入できなかった」ことについてはそこまで大きな欠点としては捉えていません。
当然「感情移入できなかった」から低い評価を付ける観点も一つの見方ですし、そもそも私はその観点で考えられなかったので、そうした方々にはあまりハマらない作品かもしれませんね。
無邪気さ故の惨さを、リアルと捉えるかフェイクと捉えるか
本作については、感情移入に関する低い評価と同時に、「凄惨で突飛な行動が非現実的に思えてつまらない」という意見も散見されます。
確かに本作は、先に述べたように全員何かしらの欠陥を抱えていることもあり、どの部分を切り取っても惨すぎてまた、思慮に欠けた行動が目立ちます。
ただ私には「登場人物の大半が中学生である」ということから、むしろ無邪気さや好奇心ゆえの惨さに見えてなりません
私たちの過ごす世界には、ちょっとした踏み外しで取り返しのつかないことになるイジメが想像を絶するほど生じています。
また、ニュースに目を向ければ、好奇心から置き石をしてしまった児童・生徒や、興味本位でもっと大きな被害を及ぼす行動まで、無邪気で、好奇心旺盛で、それゆえに大きな問題となる出来事にあふれています。
多少なりとも幼さに起因するイジメを見聞した立場としては、「リアリティがある」とまでは言えないものの、「こんな状況があってもおかしくない」そう言える作品だったのではないかと考えます。
なんか最終的に暗くて真面目な話をしちゃったけど、とりあえず面白いから皆見てヨシ!
なんだか木製ペーパーナイフ程度の切れ味で世の中を語ってしまいましたが、難しいことを考えなくても演出ドーーン、すごいシーンがバーーンでシンプルに面白いです。
グロい描写も含まれますので、その点考慮いただければ楽しめるんじゃないかなぁと個人的には思っています。オススメ!
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ではまた~。
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References
↵1 | 参考:湊かなえデビュー作『告白』の文庫版が100刷突破 単行本と合わせた累計部数は358万部越え – Real Sound |
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↵2 | ちなみに先ほど気付いたのですが、今までの映画の評価記録していたサイトのサービス終了していて全部消えました。本当にありがとうg(ry |
↵3 | 参考:告白 – Yahoo!映画 |
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