【ネタバレなし】『マスカレード・ホテル』キムタクと長澤まさみ、噛み合っていく2人の哲学!【レビュー】

2021年5月30日

masqueradehotel

出典:( (C)東宝 )

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*ジャンル:サスペンス
*キャスト:木村拓哉長澤まさみ小日向文世
*監督:鈴木雅之
*脚本:岡田道尚
*公開:2019年01月

*評価 (10段階):7
*ネタバレ:無

全てが謎に包まれた連続殺人。その次の犯行現場に超一流ホテルが予告された。

優秀だが破天荒な刑事・新田はホテルマンとして潜入捜査するも、来る人来る人怪しい裏の顔が垣間見える。

新田の指導係となったホテルマン・山岸が遵守する「お客様第一」のモットーが、全てに疑いの目を向ける新田と見事に噛み合わない。

刑事としての誇りを持つ新田と、ホテルマンとしての誇りを持つ山岸。

「宿泊客」という唯一の共通項を通じて、今まで交わることのなかった真逆の二人。

チグハグなコンビは犯人を捕まえることができるのか。

チグハグなコンビはお客様を守ることができるのか。

引用元:映画『マスカレード・ホテル』予告映像【2019年1月18日(金)公開】 – YouTube


観た!面白い。楽に観れる映画ですね。

日本のテレビドラマのような構成で、短編を通して大筋のストーリーが進んでいくような形です。

したがって、ズルズルと続くような映画よりも抑揚が分かりやすく、楽に観られるところが好印象でした。

評価7の理由としては、上記の内容や大枠の部分が結構好印象(後述します)だったところで高く付けています。

反面、細かいところで「ん?」と思うところであったり、少し粗い部分が目立ったかなぁとも思っており、そこで少し下げています。

抽象的ですが創作物ということも考慮して、「ん?」と思うところも、ある程度目をつぶるようにしています。

あまりにも大きすぎる「ん?」という違和感であれば厳しく付けるのですが、本作はそこまで大きな違和感では無かったので全体で7という高めの評価といたしました。

特に本作は、うまく出来ていた大枠の構成を優先した結果、ストーリーの細かいところに綻びが出ていた印象なので、まぁしょうがないよなぁ~。と思って受け入れました。

全体のストーリーとしては冒頭で述べたように、楽に観られる面白い映画です。

以下から、少し掘り下げて書かせていただきます。


キムタク、やっぱりカッコいいなぁ

キムタク、意外と映画って出演していなくてテレビドラマが主なんですよね。

本作は2019年公開なのですが、私は2020年に拝見し、2015年公開のドラマ『アイムホーム』からの5年ぶりのキムタクでしたが、いやぁ、カッコいい。

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引用元:『アイムホーム』 テレビ朝日公式HP

キムタクはアクの強い役柄を演じがちで、本作の新田も同様です。

賛否両論ですが、個人的にはアクの強い役柄こそキムタクにかっちりハマって面白いなぁと思っています。

批判的に「キムタクは何を演じてもキムタクになる」とよく言われますが、キムタク自身が普段からアクの強さを見せているからこそ、私は「何を演じてもキムタクになる」こと自体は肯定的に考えています。[1]参考:木村拓哉が「何を演じてもキムタク」になった理由 – exciteニュース

本作も確かに「新田であり、キムタク」だった感じは否めませんが、だからこそのキムタク起用は、新田のアクの強さがよく表れていて正解だと思います。

キム・タク、やっぱりカッコいいなぁ。[2]パソ・コンみたいに言うな。
参考:パソ・コン – Twitter

新田と山岸の噛み合わなさを上手く利用した構成!あっぱれ!

キムタクの演じる優秀な刑事・新田と長澤まさみ演じる優秀なホテルマン・山岸のチグハグなコンビを中心に追っていくストーリーなのですが、全体の構成がそのチグハグさを上手く活かして組まれていてあっぱれといった感じでした。

冒頭で述べたとおり、テレビドラマのように短編を通して大筋のストーリーが進みます。

お互いに全く理解しあえないストーリーの序盤、そのお互いの無理解さ故にうまくいきません。それがいい。

第三者として映画を観てると、新田の保有する情報と山岸の保有する情報の両方を知ることができるので、上手くいかなかった時に「な、なんでそうなる~~」とか思っちゃうのですが、新田視点・山岸視点で考えるとそこまでおかしな行動はしていないんですよね。それが面白かったです。

ストーリーが進むにつれて、お互いにお互いの哲学を徐々に理解するようになり、理解が進むにつれて徐々に噛み合う。この流れがとても綺麗でした。

それぞれ違う個性の持つコンビのドラマ・映画っていくつかあると思うのですが、その個性が徐々に噛み合っていく描写を大事にしているものってあまり無いのではないでしょうか。

日本ドラマ『相棒』や海外映画『バッドボーイズ』のように、それぞれの個性をうまく活かしていくコンビを「プラスを段々と大きくしていく」と形容するなら、本作は「マイナスを、どんどん小さくして加速度的にプラスにしていく」、そう形容できるコンビを描いていると言えます。

小日向文世の演技にもキムタクとは違った良さがある

本作の出演者でキムタクの演技とはまた違った良さを見せてくれたのが小日向文世さんです。

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引用元:小日向文世 FATHER’S CORPORATION

小日向さんは名脇役として色々な作品に出演されていますが、本作でもその良さは健在。

キムタクの演技を「キムタクっぽくて良かった」と評しましたが、小日向さんは対照的に「誰でもあって誰でもない感じが良かった」と思います。

本作ではキムタクの元相棒として出演していますが、ただの良い人なのか、ただの切れ者なのか、なんなのかよく分からない、何処かに裏を感じさせる演技が流石でした。

同じく木村拓哉主演のドラマ『HERO』では緩い役柄を演じ、北野武監督の映画『アウトレイジ』ではのらりくらりとしながらも凄みのある役柄を演じる。

その幅の広さからも伺える、言うに言われぬ雰囲気を醸す渋い演技は、本作でも健在でした。

気にするほどでもないが、予告編は少し煽りすぎたか

私自身、邦画をあまり好んで観ず、本作もあまり観る予定ではありませんでした。

ところが、YouTubeで何の気なしに観た予告動画でグッと引き込まれて、本作を観ることにしたという経緯があります。

そうした意味で、本当に、本当に気にするほどでもない些細なことなのですが、ほんのちょっとだけ、予告は「煽ったな。」という印象があります。

私が心を掴まれたワードとして、キムタクの演じる新田を、「人を見抜く天才」と表現したものがありました。[3]参考(動画):映画『マスカレード・ホテル』予告映像【2019年1月18日(金)公開】 – YouTube

しかし、そこまで「人を見抜く」というところに本編ではフィーチャーされません。洞察力のある、優秀な刑事といったところ。

本編でも(気にしていた限りでは)、「人を見抜く」「天才」といった表現は使われていないはずです。

こうした特殊能力のような能力を持ち合わせている主人公の場合、ストーリーの序盤でその片鱗を見せるシーンがあることが多いです。予告編を観ていなかったり、前情報の無い人にも「あっ、この人にはこんな能力があるんだな。」と示す必要があるためです。

本作で、それに当たるシーン(新田が「人を見抜く天才」であることを示すシーン)が、「まぁ鋭い感じの人なんだな。」くらいのものだったので、「おや?」と思いましたが、最後までそのまま。

それでも面白いことには変わりありませんが、「人を見抜く天才」として期待しながら見ると少し肩透かしを食うかもしれません。

大体こんなところでしょうか。全体的には満足度の高い映画でした。方向は全く違えど、真摯に夢を追う二人の姿、必見です。

夢を削るのは 誰にでもできること
諦めをすり替えた冷めた態度じゃ 楽になれないさ

出典:MASQUERADE/聖飢魔Ⅱ[4]参考(動画):MASQUERADE – 聖飢魔Ⅱ

おわります。


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