【ネタバレなし】『華麗なるギャツビ―』「Old sport.」という個人語からギャツビーを紐解く【レビュー】

2022年6月3日

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1922年、ニューヨーク。欲望の熱に浮かされていた街に、毎夜、豪華絢爛なパーティーを繰り広げる一人の男がいた。

彼のパーティーには著名人が揃う。しかし、誰一人として彼の存在を知る者はいなかった。

ある者は彼を「戦争の英雄」だと言い、ある者は彼を「実在しない存在」だと言う。

彼の名はギャツビー。男の憧れ、女の理想。その人生は――

引用元:映画『華麗なるギャツビー』予告編1【HD】 2013年6月14日公開 – YouTube


観た!!100回くらい観てるんだけど、やっぱりいいね。親の顔より見た映画。

めちゃくちゃに豪華で綺麗。その第一印象の裏側で、とても緻密に組まれたストーリーが走り出す。

評価は9です。過去の記録が消えて不確かですが、評価9って今まで3本くらいしか付けていないはずなんですよね。その中でも特に文句なし、何度観ても「揺るがず評価9だな」と思える作品です。

以下から、少し掘り下げて書かせていただきます。

圧巻の映像美!主役不在で30分持たせるのは凄すぎる

レオナルド・ディカプリオの演じるギャツビー。彼の登場までピッタリ30分。

タイトルからも分かる通り、本作はギャツビー周辺のあーだこーだ映画なので、言ってしまえば最初の30分はあまりストーリーが走り出していない状態です。

なのにその30分、全く退屈しない。むしろ2回目以降に観る時は、ギャツビーが登場して「えっ!?もう30分経ったの!?」と逆に驚くくらい。

なぜ主役不在で30分平気で持ってしまうのか。はじめ、私は「謎めいたギャツビーの魅力」で30分持っていたと思っていたんですね。

「どうやらギャツビーとかいうすげー奴がいるらしいぞ」と。誰かは「戦争の英雄だ」と言い、誰かは「実在しない」と言う。

噂だけが飛び交い、肝心のギャツビーの姿は誰も知らない。観ている側としては「ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)」を知っているので、「まぁ多分実在はするんだろうな(多分。。)」といった具合に考えちゃうけど、それにしてもどういう人物なのか作中では謎で、その人が主人公となると気になってしまう。

その謎めいたギャツビーへのドキドキで30分持っていた。はじめはそう思っていましたし、その要素も大いにあるとは思います。

ただよくよく観てみると、作中のキャラクターは実際そこまでギャツビーに言及していないんですよね。

ギャツビーよく知らんけどなんかパーティーとか人生とか楽しいしハッピー!!みたいなテンション。ギャツビーが誰でも良さそう。

じゃあなんで主役不在の30分があっという間なのかと言うと、やっぱり視覚的・聴覚的な美しさ。

バコーーンと綺麗な映像に、するりと現れるキャリー・マリガンの美貌。ド派手なわやくちゃ、畳みかけるようにギャツビー邸の豪華なパーティー。そこに添えられるのは、妖艶でありながら迫力のある音楽。

この映像美と音楽が素晴らしすぎて、息が止まりそうになるくらい。その世界観にどっぷり飲み込まれて、恍惚な気分でウットリしてると時間が経っているんですよ。この映像美を観るだけでも価値がある。

本作のデザイナー、キャサリン・マーティン氏は、本作監督バズ・ラーマンの奥さんで、本作でアカデミー衣装デザイン賞を受賞しています。

また、2001年公開映画の『ムーラン・ルージュ』もバズ・ラーマン監督で映像の美しさが話題になりましたが、この時もキャサリン・マーティン氏がデザイナー、アカデミー衣装デザイン賞を受賞しているんですね。すごい。

気絶しそうなくらいキャリー・マリガンが美しい

キャリー・マリガンが、「美しい」という形容詞では表現できない次元で美しい。

比較的早い段階での登場ですが、最初に出てくるシーンで毎回「マジで!?」と叫びそうになります。いや本当に。

キャリー・マリガン自身も当然美しいのですが、本作のデイジー役を演じるキャリー・マリガンは、もう群を抜いて美しい。

人類史上一番美しい人間が、この2時間にのみ存在している。

Carey Mulligan 2, 2013

引用元:Eva Rinaldi, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

今回、キャリー・マリガンの演じるデイジー役をめぐっては、『イミテーション・ゲーム』のキーラ・ナイトレイ、『LUCY』のスカーレット・ヨハンソン、『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンなど、そうそうたるメンバーが候補に挙がっていたとのことです。[1]参考:Baz Casting Wider Daisy Net For 'Gatsby’ – DEADLINE

当然、どの役者が演じても、それぞれの持つ「役に対する解釈」が反映されて、また別の美しさや良さが出ていたとは思いますが、「この熾烈な争いの上でデイジー役を獲得したキャリー・マリガン」と見ると、その素晴らしさがまた映えるように感じます。

目の動き、挙動で内面を非常に分かりやすく表現してくれる

この映画は、「主要キャスト同士の内面の探り合い、それを受けた行動」という流れがストーリーに影響します。

例えば、観ている側は裏側も知っているけれど、キャラクター側は知らない裏事情に関するやり取り。

この時、例えば片方が探りを入れるとする。

その場合、目の動きや挙動、話し方で、分かりやすく「探りを入れている」ということを示してくれるんですね。

訝しげに相手を見てみたり、少し威圧的なトーンで話す。その様子を見て、観ている側は「ぁ、いま探りを入れているんだな」と分かります。

次に、探りを入れられた側は、想定外のことに慌てるとしましょう。

この時に目が泳ぎ、物を落としたり、声が上ずったりなどして、挙動で分かりやすく示してくれます。

その様子を見て、観ている側は「あぁ、この探りは想定外だったんだな」と分かる訳ですね。

もしかしたら、探りを入れられた側は事前に探られることも想定していたかもしれません。

その場合、非常に堂々と、そして落ち着いた様子で振る舞う訳です。

さて、探りを入れて、相手が慌てている。この時に探りを入れた側は、確証が得られたのか。それはそのキャラクター本人にしか分からないことで、観ている側は分かりません。

仮に確証が得られていなければ、きっとまだ訝しげに相手を見るでしょうし、逆に確証が得られていれば、「勝った」とでも言わんばかりに堂々と振る舞うことでしょう。

その様子を見て、観ている側は「ぁ、コイツ確証を得たな」だとか、「ぁ、まだ核心には迫っていないのか。であれば、もっと調べたがるんだろうな」だとか解釈する。

このように、「内面の移り変わり」を分かりやすく示してくれるので、内面のやり取りだけでも、非常にドラマティックにストーリーが展開するんですね。サイコー。

絢爛さとドラマティックなストーリーの二面性

ここまで度々申し上げている通り、映像の美しさがとてつもない。

それだけでも一見の価値ありな本作ですが、その裏側でしっかりとストーリーが組み立てられているんですね。

緻密にコツコツと積み上げられて、「はいここまで積んでました!緻密なストーリー!」って調子で、お得意の映像美と壮大な音楽でドラマティックに展開していく。これがまた気持ち良い。

しかもこっちは映像と音楽にウットリしているもんだから、ストーリーについて邪推する隙も無く、不意を突かれてめちゃくちゃキレイなストーリーをバタンバタンと、どんどん広げられていく。

えっ?こんなテンポ感でストーリー広げていいの?あぁ、バタンバタン。キレイに組まれているからキレイに広がる。

あーー、最後までキレイに広がった。映像に踊らされていたのに、気付いたらストーリーに踊らされている。完全にしてやられている。ぐうの音も出ない。

【おまけ】Old sportと個人語の話

好きが高じて、遅筆なくせに「おまけ」として、ギャツビーの口癖にまで触れてみます。

ギャツビーは、やたらと「友よ」と言ってくるのですが、聞いているとまるでなんて言っているのか分からないので調べてみました。

結論としては、ギャツビーは「Old sport.(友よ)」と言っているとのこと。加えて、一般的には中々使われない表現のようです。[2]参考:映画「華麗なるギャッツビー」から学ぶ英文法|親しみを込めて相手を呼ぶ – 映画で学ぶ英語学習ブログ

元ネタはおそらく「Good sport.(イイヤツ)」あたりではないかとのこと。スポーツで負けても爽やかなイイヤツみたいな感じらしい。へぇ~。[3]参考:good sportの意味と使い方 – ネイティブと英語について話したこと

この「Old sport.」という表現、造語と言ってしまえばそれまでですが、「個人語」として見てみるとまた少し面白くなります。

〘名〙 (idiolect の訳語) 同一言語の話者であっても、その話し方や用語には個人差があるという観点から見た、究極的な個人個人の言語をいう。

引用元:個人語 – コトバンク

つまり、ただの造語として見るのではなく、ギャツビーの性格を反映させた「個人語」として見る。

そもそも、個人語をわざわざ使う理由って何でしょう。

一つとしては、言語の性質を「通信」と「処理」とで切り分け、処理能力を向上させるために個人語を活用するといった例が挙げられます。[4]参考:個人語を持とう – 福岡大学情報基盤センター

ただ、ギャツビーの場合、「通信(伝達)」としての言語に「Old sport.」という個人語を持ち出しています。

私も同様に個人語を持っている立場であるので分かるのですが、他者との通信時に個人語を持ち出す場合、「個性・自分の特徴を示したい」という意図や、「その表現から読み取れるような体面を保ちたい」という意図が生じています。

また、そもそも個人語を持っている時点で拘りの強さも伺えます。

これ以上踏み込むとストーリーに触れてしまいそうなので、この辺りで留めますが、こうした観点からギャツビーを見る。これもまた面白いのでオススメです。

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ではまた~。

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