【ネタバレなし】『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』第二次世界大戦中の一人の数学者、儚い物語【レビュー】

2021年5月30日

imitationgame

出典:( (C)The Weinstein Company )

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*ジャンル:歴史
*キャスト:ベネディクト・カンバーバッチキーラ・ナイトレイマシュー・グッドマーク・ストロング
*監督:モルテン・ティルドゥム
*脚本:グレアム・ムーア
*公開:2015年03月

*評価 (10段階):7
*ネタバレ:無

戦時中、ドイツ軍が使用した史上最高の暗号技術「エニグマ」。その解読が、イギリスの、世界の命運を分けていた。

主人公アラン・チューリングは実在した天才数学者で、「エニグマ」解読チームに抜擢された。

高度な技術を必要とする「エニグマ」解読に、周囲の理解は中々得られず、チーム内でも軋轢の生まれる日々。

イギリス政府が長きにわたって機密事項として扱った、儚くも壮大な全貌とは。

引用元:映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編 – YouTube


観ました~~。面白かったです。あらすじにも記述しましたが、本作は実際に戦時中にあった出来事で、イギリス政府により、50年間機密事項として公にされません。

暗号解読への取り組みはフィクションのようなスケールで、観ていて飽きません。また、当時の風潮を反映するような少数者への排他的雰囲気などなど、勉強になる描写も多々見られて面白いです。

評価は7としました。偉人の実話は評価を付けるのが難しくて、面白さ等では6, 7で迷いましたが、世に出てこなかったアラン・チューリングの大きすぎる功績、それを再評価しようとするイギリスの動きなどに敬意を表して7といたしました。

主演のベネディクト・カンバーバッチ、私はドクターストレンジの印象しかなかったのですが、めっちゃ良い演技しますね。

なんだか良い意味で演技っぽくないというか、振る舞いの本物っぽさについ見入ってしまいました。

個人的にはキーラ・ナイトレイの演技もすごく好きでした。彼女、色々な作品に出られているのですが、恥ずかしながら私は本作で初めて拝見しました。

もっとキーラ・ナイトレイの作品観ていきたいなぁと思いました。よかった。


事実を意識させながらも壮大なスケールを表現する、そのバランス感覚が素晴らしい

暗号「エニグマ」を解読するという本作のストーリー、世界最高の難題に挑むという時点で胸が熱くなる展開ですが、アラン・チューリングの天才っぷりとコミュニケーション不得意っぷりが更にストーリーを面白くさせます。

解読チームの方針とアラン・チューリングの発想が根本的に食い違っていて、その上アラン・チューリングの無意識に人を怒らせるコミュニケーション。かなりベタな滑り出しですが、ベタだからこそ面白いです。

事実を基にしているといっても、スケールが壮大でフィクションっぽく感じやすいんですよね。だからこそ、このベタな感じが事実を基にしている裏付けの役割を果たしてくれて、いっそう本作を面白くしてくれます。

率直に言うと、作り物であればこのストーリーはあまり面白くありません。他方で事実として見るとすごいスケール。その点のバランス感覚がとても良かったかなぁと思っております。事実を基にしていることを意識させつつも、フィクションのようなスケールを表現する。そんな映画でした。

実話を基にした作品って、個人的には2パターンあると思っていて、脚色強くするかリアリティを求めるかだと思うんですよね。

面白さって意味ではもちろん脚色強くした方が良いのですが、本作はリアリティを求める方向でも面白くなるスケールの大きさだったかな。『空飛ぶタイヤ』も分類だとこちらですが、ここまでスケール大きくないのでね…。

もう少し分かりやすい抑揚が欲しかったかも?

内容的に仕方ないかもしれませんが、もう少しストーリーに抑揚があると更にのめり込んで観られたような印象があります。

グダっている訳ではなく、序盤から普通に楽しんで観られます。ピークを迎えそうな展開に目星を付けて、なるほどなるほどと観ていくのですが、ヌルっとピークの展開に。

映画の中ではバーーン!くらいに盛り上がっているのですが、こちら側としては「おぉ、あぁ、そっか。」くらいの感じで、もう少しアガりたかったというのが正直な感想です。でも内容的に難しいのかなぁ。

ピークまでの展開はそこまで気にしていないのですが、ピーク(と目星を付けているところ)後も同じくらいのペース、熱量で進むので、結局何処がピークだったのかなぁと思ってしまいました。全体を通して面白いんだけどね。

紅一点のキーラ・ナイトレイ、エニグマにもっと噛んでくれたら更にアツかった

本作の紅一点、キーラ・ナイトレイ。全体のストーリーにとって非常に大事な役割を担います。キーラ・ナイトレイ出演の他の作品としては『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどが有名です。

戦時中の映画ということもあり、当時を意識した服装・髪型が非常に似合っていました。海外の映画って、少し古い時代の作品に起用する女性のチョイス、ばっちりですよね。

ディカプリオ版の『華麗なるギャツビー』に出てくるキャリー・マリガン(デイジー役)とかエグかったですよね。こんな美しすぎる人間存在するかってくらい。

そんなキーラ・ナイトレイですが本作の登場がかなりカッコよくて。予告にもありましたが、抜群の知力を見せつけて出てくるんですよね。

当時は女性に対する風当たりも強く、だからこそあのズバッと出てくるところがまぁカッコいい。

その流れでストーリーに加わるのですが、その割にキーラ・ナイトレイの知性の光るシーンが少なく、その点少し残念でした。リアリティの問題なのか分からないので中々難しいですが、登場でものすごいアツくなったのもあって、そうした観点でのキーラ・ナイトレイのカッコいいシーンに少し期待してしまったかなぁ。

多分リアリティってところなんだよね…。ただ個人的には、やっぱり当時の風潮の中でもガンガンとノシていくキーラ・ナイトレイが観たかった。

レビューが少し難しく、なんだか良くない感じに書いてしまいましたが、映画自体とても面白いですし、なによりアラン・チューリングの偉大な功績、それが表立って評価されることもなく人知れず亡くなった儚い物語。学びに非常に富んだ作品なので是非観ていただけたらと思います。

公表に踏み切ったイギリス政府の判断も素晴らしいです。

あなたが普通じゃないから世界はこんなに素晴らしい
出典:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)


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