【ネタバレなし】『空飛ぶタイヤ』実話がモチーフ!明るみに出た大企業の不正【レビュー】

2021年5月30日

soratobutire

出典:( (C)松竹 )

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*ジャンル:ドラマ
*キャスト:長瀬智也ディーン・フジオカ高橋一生ムロツヨシ小池栄子岸部一徳
*監督:本木克英
*脚本:林民夫
*公開:2018年06月

*評価 (10段階):5
*ネタバレ:無

地方の中小企業、赤松運送。ある晴れた日の午後、赤松運送のトラックがタイヤ脱輪事故を起こす。事故によって被害者は亡くなり、警察は「赤松運送の整備不良」として調査を進める。

社長の赤松徳郎は、整備に問題はなく、車両自体に欠陥があったのではないかと疑う。

奔走するも決め手の証拠は見つからず、事故による風評被害は、赤松運送を倒産の危機にまで追い込む。

遺族の気持ち、大企業の裏の顔、それぞれの正義、信念。

実話をモチーフにしたリアリティあるシナリオに、最後まで目が離せない。

引用元:映画『空飛ぶタイヤ』予告編 – YouTube


観ました~。実話をモチーフにしている点、池井戸作品である点からかなり期待していましたが、ちょっとハードルが上がってしまったかなぁという印象です。

評価は5としました。良かった点としては、やはり実話をモチーフにしているだけあってリアリティがあること。その中で非現実的な悪事が更に際立つのが面白いです。

反面実話だからこそ、池井戸潤お得意のドラマティックな展開は少なく、少しマンネリしてしまったかなぁとも感じます。

池井戸潤さんの作品としては初の映画であり、全体でも池井戸潤さんの映画作品は、後の『七つの会議』と本作の2作だけになります。

有名どころしか存じ上げないのですが、池井戸潤さんの印象として個人的に、フィクションの社会派ストーリーのイメージがあり、実話をモチーフにした作品も書かれることが意外でした。

キャストの方も、私が日本ドラマに疎いこともあって殆どどのような演技をするのか知らない人たちだったので、そこも個人的には楽しみにしていました。

ディーン・フジオカさん、かなり人気なのだけ知ってましたが、その理由が分かる良い演技でした。というか普通にカッコよかったな。

ムロツヨシさんがすーごく好きで、ムロツヨシさんが出てるってだけでも結構高まってたところ、「個人的に顔面がめちゃくちゃ好み」でお馴染み、高橋一生さんも出てきてめちゃくちゃ豪華だ~~。って思いました。

だってこれにプラスして、長瀬に小池栄子ですからね。名前が分からないだけで、他にも結構有名な若手俳優の方も出られてました。

あと渋いところで、岸部一徳さん。岸部一徳さんも個人的に好きなんだよなぁ。なんだろう、あのどう転んでも悪い役をやる感じ。

独特の重々しさの感じもあいまって、本作でカッチリハマってましたね。


フィクションのような社会派ストーリー、これが実話だから恐ろしい

本作は、実際に2000年にあった三菱自動車リコール隠しをモチーフに作られています。[1]参考:三菱リコール隠し – Wikipedia

原作を手掛けているのは『半沢直樹』『下町ロケット』などの社会派小説でお馴染みの池井戸潤。

事実を基にした邦画は少し脚色して描かれることも多く、それゆえにエンタメとして面白い映画になる印象があります。(反面、少しフィクションじみた印象も受けやすい。)

その点本作はリアリティを重視しているような印象で、だからこそ非現実的にも思える悪事が際立って見えました。

脚色されたものは終わった後に「これが実話か~。」と思うのに対して、本作は観ている最中のふとした時に「ぁ、これマジだ。」と思う。そんな感じです。

賛否分かれる配役、個人的には結構アリです

キャストは赤松運送の社長に長瀬智也、その他キーマンとしてディーン・フジオカ、高橋一生と、かなり豪華です。

比較的泥臭い役回りに長瀬、対照的にエリートのディーン・フジオカ、この配役にどうやら賛否があるようです。

長瀬智也さんにもディーン・フジオカさんにも特別思い入れはありませんが、私としてはこの配役、完璧だと思っています。[2]個人的には高橋一生さんの顔面が好きです。

長瀬智也さんが赤松運送の社長を演じることに関して、「スターっぽさ、カッコよさが強すぎる。」という意見も散見されましたが、本作の社長の立ち回りは泥臭すぎるほどに泥臭いです。リアリティを強くしているからか、行動が中小企業の社長そのもの。

後述しますが本作は少し感情移入するのも難しく、そうした意味でも社長役にリアリティを求めると泥臭すぎて見るに堪えない気がします。

それを踏まえた上で熱い兄貴っぽさを持つ長瀬智也のチョイス、バッチリだと私は思います。(以下の矢島孝プロデューサーへのインタビューもご確認ください。)

原作の赤松はもう少しもっさりした雰囲気なんですけど、キャスティング時に1度原作の描写を忘れて、ストーリーだけ考えて頭に浮かんできたのが長瀬さんだったんです。社員に慕われる感じ、社長だけど兄貴分みたいな感じが、非常に良かったと思います。

引用元:長瀬×ディーン組み合わせに「いい」 『空飛ぶタイヤ』キャスティング裏話 – マイナビニュース

ドラマティックな展開には欠け、感情移入するにも尺は足りず

ストーリーについては、実話ということもあってか、池井戸作品によくあるドラマティックな展開には欠けてしまいます。

池井戸作品で言えば、『半沢直樹』よりかは『下町ロケット』テイストで、「客観的にエンタメを見て楽しむ」よりも「登場人物に感情移入して楽しむ」タイプの作品だと考えています。

そうなると尺の問題なのか、ちょっと上手く感情移入できないんですよね。

「誰も理解できない。」とかではなく、むしろ各々の気持ちは結構わかる。ただ、それ以上何かを感じたりはしませんでした。

体感は、そんなに仲良くない知人の相談を聞いている感じ。(ぁー、大変だよなぁ。)と思いながら焼肉のことを考えている感じ。伝わりますかね。

どちらかというと『下町ロケット』寄りと書きましたが、私個人としては下町ロケットもあまりハマらなかったので、年齢であったり世代とかの問題でハマるハマらないも、もしかしたらあるかもしれませんね。

主役は誰?ディーン・フジオカの微妙な立ち位置

本作のキーマン、ディーン・フジオカの立ち位置が微妙でそこも少しモヤモヤしました。正確には、長瀬智也とディーン・フジオカの立ち位置が微妙な気がしています。

長瀬智也の主役はもちろんですが、ディーン・フジオカを主役と見るかは人によって変わる気がしています。

ただ個人的には、ディーン・フジオカを主役と見るには微妙すぎるし、主役と見ないならそれはそれで出しゃばりすぎ(長瀬が立ってなさすぎ?)な印象。

前述のとおり長瀬の行動は泥臭すぎて、思いきり主役とするには少し弱い。その間を繋ぐのはディーン・フジオカですが、立ち回りはまさに「間を繋ぐ」ような動き。

作品に都合よくあっちらこっちら。ディーンは皆の便利屋じゃないんですよって、ちょっと思いました。

大体そんな感じでした。映画で観るのは少し難しかったのかなぁ。


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References

References
1 参考:三菱リコール隠し – Wikipedia
2 個人的には高橋一生さんの顔面が好きです。