【ネタバレなし】『LUCY』アクション映画じゃなかった!【レビュー】
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*ジャンル:SF
*キャスト:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、アムール・ワケド、チェ・ミンシク
*監督:リュック・ベッソン
*脚本:リュック・ベッソン
*公開:2014年08月
*評価 (10段階):5
*ネタバレ:無
人類の脳は10%しか機能していない
出典:『LUCY』 ノーマン博士(モーガン・フリーマン)
スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーは、とあるトラブルから脳が覚醒する。
本来10%しか機能していないと言われている脳の力を最大限に発揮したルーシーは、万物を理解し、操ることが可能になる。
脳の機能を100%引き出したとき、ルーシーの見る世界とは。
アクション映画と誤解されやすい本作にアクションシーンは少なく、むしろ、より深いところでの哲学的な内容がテーマとなる。
引用元:Lucy – Official Trailer (Universal Pictures) HD – YouTube
観ました~。うーん、僕はあまりハマらなかったかなぁ。
予告でてっきり、脳の力を100%引き出したルーシーのアクション映画だと思っていたんですが全然違いました。むしろアクションシーンは殆どなかったです。[1]参考(動画):映画『LUCY/ルーシー』 予告 – YouTube
ストーリーはそこまで派手ではなく、もっとメッセージ性の強い内容でした。それはそれでアリなんですが、予告でそれを示すか、思いっきりアクションに舵を切るか、どっちかにして欲しかったかなぁ。
アクション的な展開を期待して「中々エンジンがかからないなぁ」とか思ってたら残り30分くらいだったので、これはもしや…ってなりました。少し肩透かしかな。[2]参考(若干詳しいあらすじ紹介なのでご注意を。):LUCY/ルーシー – Wikipedia
評価は5としました。この映画を評価するの、結構難しいと思うんですよね。良かった点としては、メッセージや思想の中で面白い部分がいくつかあったということ。反面、冒頭で述べたような「前情報との不一致」や、思想があるとしても少し分かりにくいかなぁというところで下げています。序盤の方の思想チラ見せ部分とかは完全にアクション映画のオマケだと思っていたのでそんなに真剣に聞いていませんでした。前情報に、そのへんもしっかり入れて欲しかった。。。
以下から、少し掘り下げて書かせていただきます。
90分の尺、よかった
120分程度の映画が多いところ、本作は90分とシャープに収めてくれていて良かったです。
内容的にも120分は持たないだろうなっていう印象でしたし、何より思想の強い映画だったので作り手としてはもっと長々とやりたかったと思うんですよね。
思想やメッセージの源泉は自分自身にあるので、ほぼ無限に湧き出てくる訳じゃないですか。
そしてそれを伝える以上、もうアレコレ詰め込みたくなるのが本心だと思うんです。その点、本作は90分でシュッと収めてくれた感じが好印象でした。
制作サイドの空想を純粋に楽しめる
本作は、「人間は脳を10%しか使っていない。」と考える、「脳の10パーセント神話」に基づいて作成されています。(あくまで都市伝説のような扱いです。誤りとする指摘も多い。)[3]参考:脳の10パーセント神話 – Wikipedia[4]参考:Uncovering a dynamic cortex – MIT News
都市伝説が下敷きなので科学的にどうと言えばアレですが、私は本作の「こうだったらいいよね」みたいなところを、純粋に「うん!そうだったらいい!」と思って観ていました。これが結構楽しかった。
内容にはあまり触れられませんが、序盤はアクション映画のつもりで片手間に観ていた分、その辺もまた観たいなぁ。
生命の目的は1つ “時を稼ぐこと”
出典:『LUCY』 ノーマン博士(モーガン・フリーマン)
「出来ることが非現実的」とかはナンセンスな批判
本作は賛否両論あり(若干、否の方が多めな印象)、色々な意見が見受けられます。
その中の否定的なものに「脳の力を100%利用しても、こんなこと出来るわけないでしょ。」みたいなものが結構あるのですが、この批判って、自分なりの理由や意見がないのであればナンセンスだと思うんですよね。
この映画のテーマは、「人間は脳を10%しか使えていない。それがもし、100%使えたのなら。」というところにあり、作品としての趣向がどうあれ変わりません。
「あり得ない」ということが言い切れない以上、それを理由にして作品の評価を下げるのってあまりに安直すぎませんか。せめて脳の1%くらい使って考えてほしいなと思いました。
どう観るかも、どういった感想を抱くのかも自由だと思うんです。もちろんこの意見に対して「それでもあり得ない」って言ってもいいと思います。
ただそれには何らかの理由や「自分はこう思う」みたいなものが必要で、思考停止して「あり得ない」とするレビューって、ノイズ以外の何物でもないんですよね。
わざわざこんなこと触れる必要もないのですが、おそらく本作の制作サイドはそんなところに対して議論してほしいとか全然思っていない気がしたので、一応触れておきました。
映画を2種類に大別して本作を考えてみる
本作は思想、メッセージ性の強い映画ですが、それにしても何を伝えたいのか分かりにくいというのが正直な感想です。
以下から、かなり個人的な考えです。
まず、映画って大体「物語(というと語弊あり?)に軸足を置く」[5]描写のキレイな映画とかもこっちに含みたいのですが、適切な表現が思い当たりませんでした。か「メッセージに軸足を置くか」で大別できると考えています。(そもそも映画として発信する時点でメッセージを最重視する意味はよく理解できませんが。)
殆どの作品は前者であり、物語の中にメッセージを込め、そのメッセージが観客に響いたり響かなかったりする。
例を挙げると、ブラピでお馴染み『ファイト・クラブ』。こちらは、「考えさせられる映画」として色々なサイトで紹介されています。[6]参考:じっくり考察したい人向けのおすすめ哲学映画20選! – 映画ひとっとび
私も既に観ましたが、特に何も考えさせられなかったです。ただ、普通に映画として面白い。普通に映画として楽しめましたし、結構好きでした。物語がしっかりしているからです。
もう一作、例を挙げます。鬱映画でお馴染み『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。こちらも既に拝見し、私なりに考えさせられるところがあります。
きっと何も感じなくても、物語がしっかりしているから面白く感じそうです。(もちろん好みの問題。)
このように、一般的には物語(及びその周辺事項)を加味して映画は評価されるかと思います。
続いて、後者の「メッセージに軸足を置いた映画」について。例として『ファニーゲーム』などが該当すると考えます。この映画は物語でいくとそんなに面白くない。ただ明確に伝えたいことがあって、それが結構分かりやすいんですね。
もちろん、分かりやすいかどうかは人それぞれですし、個人的には『ファニーゲーム』は一般的には低く評価されていいんじゃないかと思っています。(私自身かなり大きく影響を受けていますが、その点考慮して評価を6としています。)
本作は「メッセージに軸足を置いた映画?」
上記の個人的な考えを踏まえ、本作、『LUCY』に戻ります。
個人的に、本作は後者の「メッセージに軸足を置いた映画」だと考えています。
理由としては、やはり主張のプッシュが強すぎる点(特に後半は怒涛のラッシュ)、テーマの割にルーシーの脳が100%発揮される描写が少なすぎる点です。
その割に本作は、主張したいことが分かりにくい。
映画を通じて「なんらかのメッセージを伝えること」を目的とした場合、第一に分かりやすくあるべきだと考えます。(個人的な意見です。)
思想を文章や言葉で伝えることが難解になるのは致し方ないですが、映画というツールを1枚噛ませて主張するからこそ、分かりやすくあるべきだと思っています。
メッセージが分かりにくければ、ごく一部のガッチリ分かる観客と、よく分からんけどなんか分かった気がする観客からの評価しか得られません。(物語が面白くないので。)
『運命のボタン』とか『しんぼる』みたいな何がしたいのかよく分からん映画と同じですね。
本作も一応最終的な結論には達している(ような気がする)のですが、終わった後は「うん!よく分からん!」って思っていました。
他の方のレビューを見ると、ガッチリ分かる観客の方がある程度いて、その内容とか読んでるとめちゃくちゃ勉強になります。でも僕にはちょっと分かりにくかったかなぁ。
本作を「物語に軸足を置いた映画」として観る
では本作を「物語に軸足を置いた映画」として観るべきかという点ですが、物語に軸足を置いていると考えると致命的に面白くないです。
評価を5としている理由の多くは主張・メッセージに対するものであり、物語を重視した場合、もっと低くせざるを得ません。
大体そんな感じです。
「考えさせられる映画」というのは、映画側が観客に考えさせなきゃいけないですね。映画を作って「はい、なんとなく意味深な作品を作ったのであとは各々で考えてね。」とするのはあまりにお粗末です。おしまい。
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ではまた~。
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References
↵1 | 参考(動画):映画『LUCY/ルーシー』 予告 – YouTube |
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↵2 | 参考(若干詳しいあらすじ紹介なのでご注意を。):LUCY/ルーシー – Wikipedia |
↵3 | 参考:脳の10パーセント神話 – Wikipedia |
↵4 | 参考:Uncovering a dynamic cortex – MIT News |
↵5 | 描写のキレイな映画とかもこっちに含みたいのですが、適切な表現が思い当たりませんでした。 |
↵6 | 参考:じっくり考察したい人向けのおすすめ哲学映画20選! – 映画ひとっとび |
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