【ネタバレなし】『マザー!(mother!)』洋画の神髄!不快感は聖書を下敷きに【レビュー】
2022年6月6日
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*ジャンル:ホラー
*キャスト:ジェニファー・ローレンス、ハビエル・バルデム、エド・ハリス、ミシェル・ファイファー
*監督:ダーレン・アロノフスキー
*脚本:ダーレン・アロノフスキー
*公開:2017年09月
*評価 (10段階):6
*ネタバレ:無
郊外の一軒家に住む夫婦。
作家の夫と、家を綺麗に作り直す妻は、ゆっくりと流れる時間の中、日々を過ごす。
ある夜、宿と間違えた見知らぬ男が夫婦の家を訪ねる。
訝しげに見る妻をよそに、気の良い夫は男を迎え入れる。
その日を境に不審な訪問者は後を絶たず、ゆっくりと流れていた時間は、駆け足で過ぎていく。
引用元:mother! movie (2017) – official trailer – paramount pictures – YouTube
観た!訳分からんけど面白かったかも?
ストーリーは聖書をベースにしてゴリゴリに作られているようで、その点、知識のない私にとっては終始、「訳分からんなぁ」って感じでした。
とはいえ、つまらなかったかと言えばそうとも言えず、「訳分からんけど超不快」って感じが面白かった。
良かった点は、「訳分からんまま進むストーリー」と、「強い不快感を引き出してくれる」ところ。
上記の内容を肯定的に捉えられるのであれば、聖書に関する知識がなくても楽しめるかなという印象です。
以下から、少し掘り下げて書かせていただきます。
徹底して聖書を下敷きにしたストーリー
ストーリーは徹底して聖書を下敷きとしており、解説を読むと「この展開は聖書でのコレ」「その後のコレは聖書でのアレを示している」と言った具合に、聖書を知っていれば非常によく出来ていると感じられそうなもの。
信仰や宗教に対して積極的ではない日本では、中々生まれない種類かもなぁと思いました。
当然、日本にも聖書やその周辺に対して、高い知識レベルを有する人はいます。
ただ、そういった方々で優れた作品を作れる人はどれくらいいるのか。
それを作ったところで、評価される土壌は日本にあるのか。
そうした採算を度外視してもなお作ろうと思われるのか。
と、くだらない皮算用をしたりなんかすると、洋画であるからこそ生まれた作品なのかなと思えたりもする訳ですね。
聖書の知識がなくても「訳分からんまま進むストーリー」と、「強い不快感を引き出してくれる」ところを楽しめるのであれば問題なく楽しめます。
ただし言い換えると、聖書の知識がなければストーリーは訳の分からないまま進むため、フレンドリーな作品ではないかもしれません。
ただただ「不快」で「意味不明」
聖書に疎い私にとっては、ただただ「不快」で「意味不明」、これに尽きます。
その不快な行為・不快な展開に、意味不明な行為・意味不明な展開に、ストーリーとして意味を持たせてくれるのが、本作での聖書の役割です。
そのため聖書の知識がなければ、行為や展開を裏付けるものを持たずに観ることになるため、全てが意味不明。
後述するように、強い不快感を引き出すのが上手いだけあって、良くも悪くも「不快」で「意味不明」の二言に帰結します。
戸口の境と心の境界線は重なり、心理的な不快感を強く引き出す
ザックリと書くと、「訳の分からん奴らがズカズカと自宅に押しかけてくる話」なんですけど、これがまぁ不快でしょうがない。
自宅って、ある種の「聖域」みたいな場所だと思っていて、招かれざる客が踏み込んでくるのって凄く気持ちが悪いじゃないですか。
それは時として気持ちの悪い虫かも知れないし、時として無神経な知人かも知れない。
赤の他人がズカズカと押しかけてくることは滅多にないかもしれませんが、本作を通してそれを追体験することで、戸口の境は心の境界線と重なり、『ファニーゲーム』や『セックスと嘘とビデオテープ』といった、心理的な不快感を強く引き出す名作を想起させてくれます。
強い不快感を抱く。だからこそオススメ。そんな感想でした。
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ではまた~。
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