【ネタバレなし】『ビバリウム』飽きさせない作風がマル!気味悪さは終始漂う。【レビュー】
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*ジャンル:ホラー
*キャスト:イモージェン・プーツ、ジェシー・アイゼンバーグ、ジョナサン・アリス
*監督:ロルカン・フィネガン
*脚本:ロルカン・フィネガン
*公開:2021年03月
*評価 (10段階):7
*ネタバレ:無
新居を探す若いカップル。
キレイで街並みも上品な夢のマイホーム。
しかしそこは、抜け出すことのできない奇妙な街。
郵送される赤子に、誰にも気付いてもらえない世界。
ただ家が欲しかっただけなのに、そこは悪夢のマイホーム。
引用元:映画『ビバリウム』予告 2021年3月12日(金)全国ロードショー – YouTube
観た!よかった!
導入のあからさまな気味悪さ、そこで吸い込まれたらもう抜け出せない。この映画がさながらラビリンス。
全員の演技が良かった。特にイモージェン・プーツの、美しさを残した嘆きの演技と、「ヤバさ」を一瞬で観ている側に伝える、案内人のジョナサン・アリス。
評価は7としました。6と迷ったけど、ネガティブに取られがちな以下の点を上手く克服していると見て7にしました。
- 展開が単調
⇒気味悪さや抑揚の上手さで単調でも飽きずに観られた。
- オチの想像がつきやすい
⇒最後の最後まで丁寧に作られていて、「オチの想像がつく作品」に抱く不快感を感じなかった。(個人的に。)
以下から、少し掘り下げて書かせていただきます。
気味悪さ作りが上手すぎる。色合いの抑揚に雰囲気、観ているだけで吸い込まれる
まず導入の気味悪さ。これを抜きしてこの作品は語れません。
予告の気味悪さで興味を惹かれた人もいると思いますが、導入にしっかりと、気味悪さを更に上乗せしてぶつけてくれる。
予告から分かる案内人の不気味さや、ワンカラーの住宅街。
そこに加えて、あり得ないくらいの静けさと、引きで見た時のあからさまな「作られているもの」感。一気に引き込まれます。
その後も、演技なり雰囲気なりで気味悪さを出し続けてくれるのですが、その気味悪さの作りが上手すぎる。
予告の色合いも魅力的ですが、ドラマティックなところではドラマティックに色を展開してくれる。
色合いの抑揚で作る視覚的な美しさも、是非チェックしてほしいところです。
単調な展開でも飽きさせない、気味悪さの作りこみ
前述したように、展開は少し単調です。ドキドキ感も正直そこまで無い。
それでも観ていて飽きないんですよね。ずっと「何かある」感を漂わせてくれる。
実際に、その時点で観てきた段階まで何もなく単調に進んでいても、「何かある」感が常に漂っているので、その「何か」を待って観ていられるんですよね。
では何が「何かある」感を作っているかと言うと、ずーっとほんのり持続する気味悪さ。
それは時に子役の演技であり、それは時に音の使い方であり、それは時に色の使い方でもある。
そうした気味悪さの作りこみが、単調でも飽きさせない魅力に転じているのかなと感じました。
ラストも想像しやすいが、それでも悪い思いのしない丁寧さ。非常にマル
こちらも前述したところですが、オチの想像がつきやすいです。
そうした作品の場合、「ぁー、こんな感じか。」と思ってから、驚かすように想像通りのオチをバーーンとぶつけられても、「いやぁ、想像通りだしなぁ。」と言った具合に、ちょっと評価が下振れしてしまうのが一般的です。
本作もオチは想像しやすく、その想定の範囲内から劇的にはみ出ることはありません。
ただ、本作は最後の最後まで、想像通りを丁寧に展開してくれる。
奇をてらう様子もなく、キッチリと「これがこうでこうだから、こう」という流れを見せる。
得意の気味悪さで飽きさせないように工夫を加えて、ちゃんと広げた風呂敷を丁寧に丁寧に畳む。
そこには丁寧に作品を紡ぐ気持ちが垣間見え、オチの想像がつくにも関わらず不思議と悪い思いはしないんですね。
このあたり、人によっては退屈するかもしれませんし、ストーリーにも、もうひと転がり欲しいと言えば欲しいところではあります。
ただ個人的には、ひと転がり無くてもこの感じで面白いと思っているので、転がす必要も無いのかなと思いました。
むしろ、丁寧に畳んでくれた終盤が、ひと転がりさせることで杜撰になるのであれば、転がして欲しくないとさえ思いました。
イモージェン・プーツの嘆きの演技にジョナサン・アリスの気持ち悪さ。名優に名バイプレイヤー。演者全てに文句なし
今回のメイン、彼氏役のジェシー・アイゼンバーグと彼女役のイモージェン・プーツ。
ジェシー・アイゼンバーグは『ソーシャル・ネットワーク』や『グランド・イリュージョン』などに出演されており、イモージェン・プーツは『Vフォー・ヴェンデッタ』や『グリーンルーム』などに出演されています。
両者、名優であることに異論は無く、本作でも非常に魅力的な演技をされていました。
その中でも、とりわけ本作で良かったのがイモージェン・プーツの嘆きの演技。
イモージェン・プーツの美しさをそのままに、絶望感をしっかりと伝える嘆き。それがすごく良かった。
また、脇を固める俳優陣も素晴らしい。
案内人役のジョナサン・アリスは一瞬にして「ヤバさ」を伝えてくれるし、導入部分で思いきりジョナサン・アリスの「ヤバさ」に衝突すると、一気に引き込まれる。
子役の子、セナン・ジェニングス君は本作がデビュー作でしょうか。
あまり情報が出てこないのですが、あの子も凄くよかった。
気持ち悪さを作るのが上手すぎるし、それがずっと漂う気味悪さを盤石なものにしてくれる。
面白い映画は、僕みたいな素人にも分かるくらい全員の良さが立つものだなぁと思えた作品でした。
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ではまた~。
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